位相空間論の復習

微分形式の幾何学」(著:森田茂之)をゆっくり勉強している。 この本の§1.3 (c)の命題1.29の証明で次のような記述がある。

M多様体であるから、もちろん局所コンパクトなHausdorff空間である。 このことからO_iの中で\overline{O_i}がコンパクトなものだけを集めても 開集合の基になっていることがわかる。

ここで、\{O_i\}_iMの(可算個の元からなる)開基である。 私には全然わからなかったので、関連しそうなことをいくらか調べてここに書く。

用語の整理

Hausdorff空間

位相空間XHausdorff空間であるとは、 任意の相異なる点x, y \in Xに対して、 それぞれの開近傍U_x, U_yU_x \cap U_y = \emptysetとなるものが存在することである。

多様体

位相空間Mn次元位相多様体であるとは、

  1. MはHausdorff空間であり、
  2. Mは第二可算公理を満たし、かつ
  3. Mの任意の点に対してその開近傍で\mathbb{R}^nの開集合と同相になるものが存在する

ことである。

ここでXじゃなくてMとしたのは多様体(Manifold)だから。

被覆

集合Xの部分集合の族\{U_i\}_{i \in I}Xの被覆であるとは、 その和集合\displaystyle\bigcup_{i \in I} U_iXに等しくなることである。

開被覆

U位相空間Xの部分集合とする。このとき、U開被覆とは、Uの被覆でその元がすべて開集合のものである。

細分

集合Xの被覆\{V_j\}_{j \in J}被覆\{U_i\}_{i \in I}の細分であるとは、 任意のi \in Iに対して、あるj \in Jが存在して、 V_j \subset U_iとなることである。

コンパクト集合

位相空間Xの部分集合Uコンパクト集合であるとは、 Uの任意の開被覆に対してその有限の細分が存在することである。

コンパクト

位相空間Xコンパクトであるとは、 Xがコンパクト集合であることである。

近傍

位相空間Xの部分集合Ux \in Xの近傍であるとは、 ある開集合Oが存在して、 x \in O \subset Uが成り立つことである。

局所コンパクト

位相空間X局所コンパクトであるとは、 Xの任意の点x \in Xに対してxの近傍となっているコンパクト集合が存在することである。

基本的な性質

今日調べた基本的な性質を列挙する。

  • Hausdorff空間の部分空間はHausdorff空間である。
  • 連続写像によるコンパクト集合の像はコンパクト集合である。
  • コンパクトな空間の閉集合はコンパクト集合である。
  • Hausdorff空間のコンパクト集合は閉集合である。
  • \mathbb{R}^nは局所コンパクトである。
  • \mathbb{R}^nはHausdorff空間である。
  • 位相多様体は局所コンパクトである。

ちょっと不安な部分もあるから明日証明を書く。